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Books/レビュー

チェ・ウニョン 『ショウコの微笑』

| Mashimaro | 2020. 9. 15. 01:35



韓国語レビュー [Korean Review]

최은영 『쇼코의 미소』




この本が短編集だったのは知らなかった。七つの作品が乗っているが、厳密に言うと最初の作品である〈ショウコの微笑〉は中編小説に近いと思った。実はこの本のタイトルが最初の作品のタイトルだったから、最初の作品を読み終わったら他の作品はあまり面白くないだろう...という先入観があった。でもこの本は不思議だった。各作品がすべて生きている感じだった。全部読み終わった今、私の感想としては一つの作品も捨てられないと思った。


私は短編小説をあまり好まない。なんか私と合わないというか..。ストーリーの蓋然性が分かりにくい場面が多かったり、あまりにも突然に出て来る設定が多かったり、あるいはあまりにも破格的な話が多かったり...するのが短編小説に関する私のイメージだった。しかし、そのような偏見をちゃんと破ってくれた作家がこのチョ・ウニョン作家になった。先に言うと、そうだ。私はこの作家のファンになった。


すべての作品の内容が淡々である。そして穏やかながら激しく揺るがない。私たちの生活ととても密接しているし、だからこそ共感を与えながら暖かい。ここまで来ると、内容がすごくつまらなさそうな予感が来る。でも不思議なのは、全然つまらなくない。すごく作品に集中させる不思議な感じだった。このような妙な感じは昔キム・ヨンス作家の作品を読みながら感じたが、今回はまた別な感覚の妙な感じがあった。さらに共感しながら読めたのは、おそらく作品に登場する人物がほとんど女性だったからかも知れない。もちろん女性だけが登場するわけではない。しかし、話者のほとんどが女性であり、また作家の性別もそうだったからかも知れないが、女性の立場から語ってくれる部分で共感することができた。


そこに加えて〈ハンジとヨンジュ〉のヨンジュは遅い年まで大学院生活をしていた私の姿とかなり似ている部分が多かったし、〈彼方から響く歌声〉に登場するミジン先輩は、大学時代歌のサークルをしながら似ている感情を感じてた部分をうまく代弁してくれた感じだった。〈ミカエラ〉と〈秘密〉を通してはお母さんと祖母を思い出させたし、実際私が作品の中に入っているような錯覚を起こすくらいだった。淡々で静かな作家の物語がこのように大きい感情としてやって来るとは知らなかった。また作品の中で「死」と言う素材がたまに登場しているが、そんなに新派的に描かれていないことも不思議だった。


とにかく、作品に関する背景知識もなく、全然期待なしで読み始めた本がホームランを打った感じだ。これから探して読みたい作家がもう一人増えて嬉しい。




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