HONG[本]'s Japanese World

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Books/レビュー 21

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 『FACTFULNESS』

この本を一体いつ購入してたんだろう...。多分、すでに発売された当時に購入しておいたのに、未だに読まずにおいていた本だった。結局、この本を読んでいる友達のおかげで、一緒に読み始めた。そして、改めて感じた。いつもビビって読んでなかった本は、結局読み始めると面白くて読みやすいという...。結論から言うと、すごく読みやすい本だったし、共感ポイントも多くて良かった。 実は、様々な研究や報道資料などで統計資料やデータがよく活用される。私たちはこのように提示された資料をいわゆる公信力、あるいは専門性を認める指標として受け入れるが、このような資料を提示する過程においての誤りや歪曲が生じる可能性がある。この本はこの過程の中での誤り、あるいは私たちが情報を受け入れる瞬間での誤りなどを指摘している。様々な本能という表現を通して。この本で提示している本能は「分断本能」、「ネガティブ本能」、「直線本能」、「恐..

Books/レビュー 2021.05.01

チョ・ナムジュ、チェ・ウニョン、キム・イソル、チェ・ジョンファ、ソン・ボミ、ク・ビョンモ、キム・ソンジュン 『ヒョンナムオッパへ』

韓国語レビュー [Korean Review]조남주, 최은영, 김이설, 최정화, 손보미, 구병모, 김성중 《현남 오빠에게》 この本をなぜ今になって読んだんだろう。私が好きな作家たちがこんなにいっぱい参加している小説集なのに。ここ何年間の間にフェミニズム関連の本を結構読んでたが、その分、片寄っている読書をしているんじゃないかなと思ってなるべく自制してたし、また、好きな作家の他の作品もたくさん読んでたので、わざわざフェミニズム小説だと全面的に出していろんな作家が集まって作業した短編集を今すぐ読むべきなのか?という考えが読みにくくさせたと思う。しかし、やはり初作品だったチョ・ナムジュ作家の〈ヒョンナムオッパへ〉を読み始めた瞬間、あれこれ考えずにただ本を握って読み始めるようになった。 確かにチョ・ナムジュ作家は本当に現実をよく描き出す作家だと思った。ディテールだと感じながらもあまりに..

Books/レビュー 2020.09.25

宮下奈都 『よろこびの歌』

韓国語レビュー [Korean Review]미야시타 나츠 《기쁨의 노래》 宮下奈都は《羊と鋼の森》を通して知った作家である。この本が本屋大賞の候補に上がったとき、本は購入しておいたが、未だに読んでなかった。その中で、この本を発見して先に読んでみるようになった。まずは内容がそこまで重い感じではなかったし、またこの作家の色が少しは分かるようになるんじゃないかなという感覚で先に読んでみるようになった。そしてその目的はある程度成功だったとも言える。ある意味でストーリーが結構単純で学院ドラマのような物語かもしれなが、すごく暖かい作品だと感じた。この部分がまさに私が持つようになった宮下奈都という作家のイメージだった。 またこの作家の作品をたくさん読んでないのでよくわからないが、もう一つの特徴といえば...この作品も、そして《羊と鋼の森》も「音楽」に関する物語というところだ。この作家は主に音楽..

Books/レビュー 2020.09.25

宮下奈都 『羊と鋼の森』

韓国語レビュー [Korean Review]미야시타 나츠 《양과 강철의 숲》 いよいよこの本を読んだ。本屋大賞で話題になった当時に日本語の原本で買おうかなと悩んだリもしていたが、結局我慢して翻訳本を待っていたが、意外と翻訳本が早く出たのですぐ買ってしまった。だけど、なかなか読み始めなかった。素材が調律師に対するストーリーだったし、雰囲気もかなり穏やかな感じだったので、もし感動系の地味なストーリーなのかという心配で、なかなか手が出なかった。しかし、それにも関わらず私がこの本を購入していた理由は、「本屋大賞」というタイトルのためだった。現在私が日本に住んでいてもっとそう感じているかもしれないが、私は他の文学賞の受賞作より本屋大賞を信頼している。信頼するという意味は、権威や作品性などを意味するより、私が読んだときに失敗する確率が少ないという意味である。その分、本屋大賞の受賞作あるいは候..

Books/レビュー 2020.09.20

チョン・セラン 『保健室のアン・ウニョン先生』

韓国語レビュー [Korean Review]정세랑 《보건교사 안은영》 いったいこの本をいつ買ったんだろう。いつものように書斎にそのまま眠っていた本だった。今回のきっかけはネットフリックス(Netflix)でドラマ化されると言う知らせとともに予告編を見たからです。実は予告編の映像が面白そうだったからではない。基本的に退魔師のような素材そのものをあまり好きじゃない。どうせドラマとしては見ないと思ったので、むしろ本は読んでみたかった。 予想どおり、本は面白くて吸引力もあった。ストーリーにめちゃくちゃはまってしまうとは言えないが、軽くそして面白く読むことができた。これはストーリーの基本軸が結構シンプルで、いろんなエピソードを加えている形をとっている。なので多様なエピソードやキャラクターが登場してるが、基本的な設定と主な登場人物は意外と単純に設定されていると思った。なので、読みながらも複雑..

Books/レビュー 2020.09.20

チェ・ウニョン 『ショウコの微笑』

韓国語レビュー [Korean Review]최은영 『쇼코의 미소』 この本が短編集だったのは知らなかった。七つの作品が乗っているが、厳密に言うと最初の作品である〈ショウコの微笑〉は中編小説に近いと思った。実はこの本のタイトルが最初の作品のタイトルだったから、最初の作品を読み終わったら他の作品はあまり面白くないだろう...という先入観があった。でもこの本は不思議だった。各作品がすべて生きている感じだった。全部読み終わった今、私の感想としては一つの作品も捨てられないと思った。 私は短編小説をあまり好まない。なんか私と合わないというか..。ストーリーの蓋然性が分かりにくい場面が多かったり、あまりにも突然に出て来る設定が多かったり、あるいはあまりにも破格的な話が多かったり...するのが短編小説に関する私のイメージだった。しかし、そのような偏見をちゃんと破ってくれた作家がこのチョ・ウニョン作..

Books/レビュー 2020.09.15

チョ・ナムジュ 『彼女の名前は』

韓国語レビュー [Korean Review]조남주 『그녀 이름은』 チョ・ナムジュ作家の作品をもう一回読んだ。今回の作品もまた話者が女性だけど、《82年生まれ、キム・ジヨン》のように一つの長編諸説ではなく、今回の作品は小説集だった。短編小説とするにもより短い感じの短いエピソードの羅列にように見える小説集だが、本の前に書いてある作家の言葉を読んでみると、この本が多くの女性たちをインタビューして書いた者であることがわかる。実は、最初この本の紹介を見たっとき、最初の作品に関するストーリーが紹介されていたし、話者も女性だったので、この作家は完全にフェミニズム作家として方向性を決めたんだな...と思った。そして、最初の作品から職場内でのセクハラに関する素材だったので、私も心の準備をしっかりとして読み始めた。 しかし、今回の作品集は、より包括的なスケールの話をしていた。セクハラ、暴力、あるいは..

Books/レビュー 2020.09.15

ダンシングスネイル 『怠けてるのではなく、充電中です。』

韓国語レビュー [Korean Review]댄싱스네일 『게으른 게 아니라 충전 중입니다』 この本はいつかは読むだろうと思ってとにかくRIDI SELECT(Ridibooksの購読サービス)の書斎に追加しておいたものだったが、今まであまり手がとどかなかった。最近このようなエッセイがいっぱい発売されているからか、むしろよく探して読むことを控えていた気がする。結局この本を読むようになったきっかけは、めずらしくKYOBOブックドリームだった。9月に無料で貸してくれる本が同じ作家の《適当に近い間》という本だった。前の部分だけ少し読んだら、この作家の以前の作品がこの本《怠けてるのではなく、充電中です。》ということが分かって、極A型である私は前作から読もうと思い、この本を先に読むようになったのだ。 結構短い時間に負担なしで軽く読むことができたけど、期待していたことより共感できて慰めになる部..

Books/レビュー 2020.09.11

チョ・ナムジュ 『82年生まれ、キム・ジヨン』

韓国語レビュー [Korean Review]조남주 《82년생 김지영》 とっくに買い置きだけだったが、なかなか読めなくて先おきりにしていたが、ようやく読み終えることができた。実はページ数も少ないし、文章もすごく簡潔でさっぱりしていたので、読もうとすると何時間使えばすぐ読める本である。しかし、その簡潔な文章の中に含まれている内容があまりにも辛くて苦しかった。本の末尾についている作品解説にも出ているが、私が感じたこの本は完全に普遍性を追求する作品だった。 一般的に、諸説の主人公は独特である。独特な主人公がどれだけ説得力がある人生を生きるのかが小説の興味を左右すると言っても過言ではないだろう。ところが『82年生まれ、キム・ジヨン』の主人公は慣れているキャラクターである。特殊性ではなく普遍性を追求することがこの小説の特殊性である。(キムゴ・ヨンジュ_作品解説:私たちみんなのキム・ジヨン) ..

Books/レビュー 2020.09.10

上野千鶴子・水無田気流 『非婚ですが、それが何か!?』

韓国語レビュー [Korean Review] 우에노 치즈코, 미나시타 기류 『비혼입니다만, 그게 어쨌다구요?!』 実はこの本を読もうと思ったのは'非婚'という言葉のためだった。私の状況のためか、こういう話題に興味もあるし、またわざわざ堂々(?)と'非婚'という語彙を選んだのが私の目を引っ張った。私は現在、日本では30代半ばの歳だが、韓国では30代後半になった。特に独身主義者だから結婚を'しなかった'訳でもなく、すごく結婚したいのに結婚'できなかった'訳でもない。どっちか選択しろうと言われるとちょっと戸惑ってします。実は、今一人暮らしがすごく楽だけど、また家族という共同体をすごく好きな私だから、こういう問題は私にとって結構難しい。ま、こうやって生きて、良い人が現れたら結婚すればいい...という考えである。ただ、歳はとってるのに結婚できなくてどうするの...という風に焦らないよう..

Books/レビュー 2020.09.10

東野圭吾 『容疑者Xの献身』

韓国語レビュー [Korean Review]히가시노 게이고 『용의자 X의 헌신』 東野圭吾の作品の中でも有名な『容疑者Xの献身』をやっと読んだ。同じ作家の作品の中で、以前読んでた作品としては『ナミヤ雑貨店の奇跡』と『虚ろな十字架』、そして『マスカレードホテル』がある。しかし、これらの作品は雰囲気が似ている面もありながら、またすごく違う作品のような感じもして、実は未だに作家のキャラを掴んでないかもしれない。ただ、没入度があり、本を早く読み終えるのと、なんか複雑なトリックを使っているようだけど、そのトリックを解かないというプレッシャーを与えない妙な感じがある。推理小説とはいえ、推理そのものより、事件に対する蓋然性や各人物のストーリーテリングにもっと集中している作家じゃないかなと思った。なので、たまに東野圭吾の作品を探して読むようになるかもしれない。特に『虚ろな十字架』の場合は、死刑制..

Books/レビュー 2020.09.10

恩田陸 『蜜蜂と遠雷』

韓国語レビュー [Korean Review] 恩田陸 『蜜蜂と遠雷』온다 리쿠 『꿀벌과 천둥』 この本をやっと読み終えた。日本語の願書だし、ページ数が507ページもするし、編集が2段編集である。そんなわけで、同じページ数の他の本より内容が結構多い。だからか、kindleでこの本を読んだけど、1時間くらい頑張って読んでも1~2%くらいしか進んでないと表示が出てた。でもそんなに長い旅を終えた感じがする。しかも、それは単純に私が本を読んだ過程だけじゃなくて、内容的にもそうであって、本を閉じた瞬間、主人公たちと共にコンクールという旅を終えた感じがする。 主人公はおそらく4人と言うべきだと思う。そして、ストーリーはこの4人の成長ストーリーと言えるのかな。このような音楽、さらにコンクールを素材とする内容だとしたら必ず天才が存在する。これは小説の公式というより、実際の我が社会の姿がそうだと思う。..

Books/レビュー 2020.09.10